2017年にこの湯の峰温泉にゲストハウスを開業しましたが、徒歩圏内に飲食店や食料品店が極端に少ないこの地で、素泊まりのゲストが食事に困っている姿を毎日のように見かけ大変心苦しく思っておりました。また、この風情ある温泉街の夜に、ふらっと外出して一杯ひっかけたり、地元の方々とちょっとした交流を楽しんだりできる場所があればなあ、、、とも。
そんな思いを抱えてはや七年、このたび温泉街の一角に小さな家をお借りするご縁をいただき、旅人の食とナイトライフに関する問題を一挙に解决すべく、飲食店を始める決断をいたしました。
今回の飲食プロジェクトのモデルになっているのは、鉄輪温泉や杖立温泉で見られる「地獄蒸し」の蒸し場です。地熱により高温で吹き出す温泉の蒸気を利用した自然の調理場を誰もが気軽に楽しんでいる姿に感銘を覚え、この形態を熊野の地でもやれないかな?というのが元々の発想でした。さすがに特定の地域の食文化をすぐに移植するのは難しいのですが、まずはその魁として、蒸し場のコンセプトだけをお借りして飲食業の中に組み込んでみようと考えました。
ですので、泉源の眼の前にある湯垢離バーではありますが、そこからポリタンクでせっせと温泉を運び入れ、バーの中央にしつらえた「IH蒸し場」にて地獄蒸しならぬ、湯の峰の「極楽蒸し」を体験してもらいます。趣という点では本場の地獄蒸しにはかないませんが、蒸し場を囲む人々の笑顔と会話が絶えないお店にしていきたいです。
方針
- 湯の峰温泉に集う旅人へ、健康で安定した食生活を提供する
- 地元の食材を使った温泉せいろ蒸しで、身体の内側からも湯治してもらう
- 新鮮なクラフトビールと関西各地の地酒で、たのしい国際交流の場を提供する
屋号の由来
湯垢離とは、湯に入って身を清める行為を意味する古い言葉です。古より人々は湯の峯で身を清め、熊野詣でへ向かってゆきました。まさにその「湯垢離場」の真ん中に生まれたこのお店の名前は「湯垢離バー」しか考えられませんよね?
そして英屋号”You Got It Bar”は、まずはその響きの類似性で決めたものですが、それに加えて、湯の峰開湯以来千年以上の時を経て、ようやくこの地にバーができましたよ、Finally, you got it! という喜びを地域の人々や旅人達を分かち合いたい、という想いを込めた命名なんですよ!